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「お寿司屋さんで出るイカよりも喫茶店で出されるイカが面白い」飛越暮らしのMeetup vol.1 レポート後編

 

Introduction

はじめに

2022年12月14日、「飛越暮らしのMeetup vol.1」を開催しました。テーマは、「地域の活動とライフスタイル」。「事業開発・PR・プロジェクト運営、」「宿泊施設の運営、」「家具製制作など」とさまざまなバックグラウンドを持つゲストから、日々の活動や暮らしについてお話をうかがいながら、飛越エリアと自身の関わり・ライフスタイルについて、意見を交わしました。前編・後編にわたり、当日の様子をヒダクマの藤澤がレポート。前編では、本企画の趣旨、登壇者のプレゼンテーションを中心に、後編では、登壇者全員によるトークセッションの様子をお届けします。

 

お寿司屋さんで出るイカよりも喫茶店で出されるイカが面白い。飛越らしさってなんだろう?

 

トトンの増山さん、ヒダクマの岩岡がファシリテーターとなり、3人のゲストの地域におけるライフスタイルについてお話を伺いました。

 

 

岩岡:皆さん暮らしを満喫しているように感じられて、こんな豊かな人生があるんだとお話を伺っていて感じました。笹倉さんの「自然が豊かで食べ物が美味しい、それってどこも一緒」というお話がありつつ自然が豊かな部分や美味しい食材を楽しんでいる一面も垣間見えたりして。どのように視点を変えると、飛越らしさが見えてくるのか気になります。

 

笹倉さん:氷見に関していえば、山に囲まれていて大きな工場が無く、自営業の方が多い。

言葉にするのが難しいですが「昔ながらのおじいちゃんが、ちゃんとおじいちゃんのままでいること」がらしさでもあると思います。私は茨城出身なので比べると、茨城には大きな水産加工会社があり、従業員はサラリーマン的です。町にいても、その仕事をする人たちと交わることがないです。氷見にいると先程のお寿司屋さんや喫茶店で出会うんです。喫茶店のマスターがコーヒーと捌きたてのイカを出してくる、みたいなことに。お寿司屋さんで出てくるイカよりも、私が面白いと思うのは、喫茶店で出会うイカのシュチュエーションで、それもひとつのらしさになるのかも。

 

岩岡:言葉にするのは難しいですよね。ですが言いたいことも伝わりました。岡山さんは喫茶店でイカ派ですか?

 

岡山さん:私が生まれた長崎も魚がおいしいと有名なんですけど、景色の綺麗さや食で地域ごとに競い合ってもあんまりしょうがないなと思っています。 食文化が土地に根付いていて、イカが喫茶店でという話のように、単純にうまいからそれ食べればいいという感じで出てくるような暮らしが面白いと思うことはわかります。

僕の妻の地元は千葉で、舟橋村に移住をしようと言ったら最初は反対されましたが、いろんなところに連れて行って、地元の人や食の魅力が積み重なった地域を知ったようで、住みたいと考えが変わって。駅前でうまい寿司屋に連れて行けば、そうなったかというとそうではない。住みたいと遊びに行きたいという感覚は違うかもしれませんね。だから笹倉さんは勝手口なのかも。

 

岩岡:なるほど。子育ての話は先程ありましたが、岡山さんの住んでいる舟橋村はどんなところなんですか?

 

岡山さん:氷見みたいに海があり、絶景があるわけでもない。飛騨みたいに山の豊かさがあるわけでもない。富山市のベットタウン的な場所なので何かがあるわけではない分、色んなところと関係を持っている人が多い。富山市で働いている人もいれば滑川市で働く人もいて、富山の中でも異質。そこに住みたくて住んでいる人が多いので面白い。

 

岩岡:同じ村の住人が、日中全然違う場所にいるのも面白いですね。行ってみたいです。松原さんも喫茶店でイカの方だと思いますが、どうですか?

 

 

松原さん:そうですね。そうじゃないとただ雑誌を読んでいるだけになってしまいます。

私は高野という小さい村のような地区に住んでいて、よくお世話をしてくれる人が何人かいるんですが、ある日家に帰ったら家の中におじいちゃんがいたということもありましたね。これは普通ではないと思いますが(笑)。急に餅を作るから、朴葉を200枚取ってこい!みたいな。予想外のことが田舎に住んでいるからこそ起こります。

 

岩岡:話を聞いていると美味しいものも、豊かにありますが、それをどう楽しませてくれるか、どう楽しんでるかって結局人との出会いで変わりますね。

 

 

人に出会い、人を好きになることが生み出す輪

 

岩岡:皆さんのお話を伺うと、 偶然ここに来た感じに近いですよね。僕は東京都出身ですが、生まれてから一度も故郷だと思う感覚はなくて。飛騨に初めて来た時に、泣けてきたんですよ。こういうところで生まれたかったって。土地のことが好きになってきて、いろんな人に出会ってその人たちのことを好きになると、色んなことに巻き込まれて。それを繰り返していくと、だんだんとその土地の暮らしが見えてくるみたいな。

 

笹倉さんは、1日2組のゲストに、勝手口から始まる旅の面白さを味わってほしいと思うその先にあるものは何ですか?また来てほしいとか、なんならここに住んでみなよみたいなことなのか、あるいは自分たちが普段暮らしている地域にも、同じような魅力があることを知ってほしいのでしょうか?

 

笹倉さん:どちらかというと前者かなとは思います。私たちが住んでいる地域は、外から来た人に対して寛大なことが多いので、親戚の家ぐらいに思ってくれたら嬉しいです。 第2の故郷というか。そんな場所になれたらいいなと思います。中には5年で10回来ているゲストもいて。近所の人たちも覚えていて、あの子元気か?と気にかけている感じがすごくいいです。

 

岩岡:舟橋村での、最近の兆しは何かありますか?

 

岡山さん:最近ですと、前半で紹介したママさんたちのアップサイクル事業が全国的なメディアに取り上げられました。あと、村長が変わりました(笑)。村長も子育てのために移住してきた人なんです。このように子育てのために集まった人たちが、子育て以外のフィールドをどんどん開拓している。子育てをしていたら必要なものが見えてきます。楽しさや役割を見つけていき、そこでどんどん新しいものが生まれているのが面白いです。

 

岩岡:子育てをキーワードにコミュニティが出来上がっているんですね。増山さんはお話の中で気になったことはありますか?

 

増山さん: 皆さんが海や山で日常生活を楽しんでたり、町のキーワードに子育てがあったりしている中で、僕は今どちらかというと喫茶店でイカではなく、寿司屋でイカを食べる普通に生活してる人のひとりで、羨ましいな、そっちに行ってみたいなと思っている立場です。このエリアにも、そういう人たちが多くいるのではないかとは思っています。人との出会いをこうやって改めて聞くと、ますますそっちに行ってみたいと思えるので、イベント自体にも可能性があると感じました。

 

そんな中で岡山さんの、選択肢がないから諦めるのはやめたいというお話に共感しました。皆さんそれぞれ選択肢が限られている、もしくはないものに対して新たに自分たちで作るという楽しみを動かしてることに興味があります。どういう風に考えているのか、実践していることがあれば教えてほしいです。

 

岡山さん:僕は子育てをキーワードにして、周りに早く馴染めたからこそ新しい選択肢が作れたという感覚があります。宿にしても、子育てにしても地域で暮らしている人たちの協力があるからこそ成り立つことですよね。何かをやる前に、その地域で暮らすということがすごく大事だと思っています。普段からの人間関係があるからこそ、やりたいと思った時に協力してもらえますし、逆に自分が役に立てることがあるかもしれないし。

 

増山さん:ないものよりも、あるものを楽しむみたいな感じが強くしていますが、松原さんは、逆にこういったものがほしいのにという思考回路になるときはありますか?

 

松原さん:なくはないですね。今日ケンタッキーにしようと言われてもケンタッキーがない、みたいな。でもやっぱりあるものを楽しむことで、より満足できているのかなと思います。

 

話が盛り上がる中、ここでイベント終了の時間に。

 

岩岡:僕は飛騨と東京の2拠点生活の中で、松原さんのような朝起きたら空が見えるようなディープな暮らしはしていないですし、増山さんの言う喫茶店でイカ側ではないですが、3人のゲストのように、より深く地域に根ざしている方たちのお話を伺い、僕らが憧れる飛越の暮らしを解きほぐし、明らかにしていければいいなという思いでこのミートアップイベントを開催しました。

飛越エリアとして、富山と飛騨をひとつに見ても、それぞれのお話を伺うと、すごく小さな単位の人の繋がりや面白さが生まれています。一概に「これが飛越ライフスタイルです」と言えることは今後もないかもしれないですね。ですが、それぞれの局所的な異常事態が、そのまち人自体の魅力にもなっている。それを知った人もきっと魅力に感じるポイントだと思いますし、これからもすごく小さな単位で知っていきたいと思います。今日は皆さん、ありがとうございました。

 

その後は、交流会を行いました。

 

 

 

あとがき

3名のゲストのお話を伺い、改めて人との繋がり生きることの大切さを知り、豊かなまちでの暮らしに憧れました。と同時に喫茶店でイカのような出会いは、自身の心の持ちようで発見するチャンスが増える気がしています。私の2拠点生活の中にも、きっと潜んでいると信じて、細かな変化に目を向けていきたいと思います。

小さな単位での異常事態の点を、このイベントを通して解きほぐしていくことで、点が繋がり線となり、何になっていくのか…今後が楽しみです。

 

Writer’s profile

藤澤 祐里佳 / Yurika Fujisawa

飛騨の森でクマは踊る 森を事業部 森のデザイナー

福岡出身。学生時代に家具、プロダクトを学び、インテリア家具メーカーにて、特注家具やインテリアプランニングに携わる。森を知ることから始まるデザイン活動に興味を持ちヒダクマに入社。現在は東京と飛騨での2拠点生活を送りながら、豊かな暮らしとは何か模索中。飛騨の山で経験したテントサウナをきっかけに、自然と向き合い楽しみを見出す飛越暮らしに憧れを持っている。

 

 

©️2023 株式会社飛騨の森でクマは踊る

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